第10話:古の村人
前回までのあらすじ:勇者のたこ壷19800円
トアール村には伝説があるのです。
『魔王の降り注ぎし世界のピンチなる時に伝説の人はきっと現れる』
しかしまぁ世界は魔王なぞに支配されておらず平和ボケもいいところなのだが・・・
やっぱりこの男は連日暇なのであった。
そう、ショタコンFighter豪(2X)である。年齢が伏せてあるのは作者が考えるのがめんどくさいからであろう。
この男は無職なのは間違いない。本人は「正義のヒーロー」と言っているが。
そしてもう一人。木工ボンド(1X)である。どっかの工作員の一員である彼もまた暇なのだ。
そして彼こそが伝説の人・・・な訳はない。
基本的に寒さも増してきたトアール村で流行っている遊びといえば井戸端会議であろう。
これほどエキサイティングでアグレッシブなスポーツは他にないと力説する先生もいるくらいだ。
ジャングルジムでかくれんぼなんてもう流行らないのよ。
あー村人よ。どうして君たちは滑り台でおにごっこをしないのか・・・
そう思うのもつかの間、久しぶりに豪はトアール村に帰ってきたのだった。
もう迷惑以外の何者でもないのだけれども。
「今日も美少年を探すぞぉ!」
気合だけは小学生にも勝てそうだが行動力は幼稚園児以下なのはお約束である。
とりあえず定位置であるしょんべん小僧の中で美少年が現れるのを待つ。
そのしょんべん小僧からは妙に生暖かい液体が出てきているのには気づきたくないことだ。
まぁこいつはほっといて今日は木工ボンドの誕生日なので誕生日パーティーの生中継だ!
「あーど〜もど〜も。私の誕生日だというのにこれだけしか集まらないのがおかしいですな〜。」
ずうずうしい挨拶のもと誕生日パーティーは幕をあけた。
パーティー会場には木工ボンドしかいないはずなのに100人くらいの声はしている。
腹話術かカセットテープのどちらかであろう。
パーティーはどんどん進み、ついにメインである木工ボンド紙芝居が始まった。
「えー桃太郎。むかしむかしあるところにおじいさんが住んでいました。」
おばあさんはどこへ行った?とつっこむ客はいないっていうか客がいない。
「おじいさんは山へ芝刈りにおじいさんは川へ洗濯に行きました。」
「おじいさんが川で洗濯をしていると大きな桃が流れてきました。」
「おじいさんが桃を持って帰ると包丁でスパッと切りました。」
「すると中から元気な男の子が出てきたではありませんか。(もちろん全裸で)」
「で、おじいさんは相談した結果桃太郎と名付けることにしました。」
「めでたしめでたし。」
なんと適当な話であろうか。もう客は飽きれている感じであるといっても客がいない。
「くーなんて感動するお話なんだ〜(泣)」
一人だけ涙無しでは語れないようなやつがいるがそんなこんなでパーティーは終わったのだった。
平和な限り伝説の村人は出てこない。そんな事がしみじみ感じられたお話なのでした。
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